Forbes主催「RISING STAR AWARD」で3位選出、HRテックが実現するユニコーン企業への道

日本の多くの会社で目標・評価といった管理はExcelや紙で行うことが多い。人事評価は、企業にとって非常に重要な業務であるにも関わらず、人数が増えてくると業務が煩雑になり、Excelや紙での管理で質を維持していくのは難しい。また、社員は目標設定をタスクとして入力するだけ、人事や評価者は目標の確認や評価を後回しにしてそもそも見ていないなど、人事評価がブラックボックス化するといった様々な課題が存在している。

株式会社HRBrainは、日本中の企業で広く行われている目標シートの記入から評価オペレーションまでをクラウドで一元化したクラウド型目標・評価管理サービス「HRBrain」を展開している。2017年1月のリリースから1年でIT企業をはじめ、150社への導入実績(2017年12月18日現在)を持ち、サービス利用継続率も99%を超える。またForbes主催「RISING STAR AWARD」で、次代を担うユニコーン企業の卵として3位に選出された。同社がクラウド型サービスで挑戦する人事評価のあるべき姿とは。

リリースから1年弱で約2億円を追加調達

株式会社HRBrainは2017年12月18日、既存株主である株式会社ジェネシアベンチャーズ、BEENEXT Capital Management Pte. Ltdからの追加出資に加えて新たに、サッカー日本代表の本田圭佑選手が代表を務めるKSK Angel Fund LLC、みずほキャピタル株式会社などから総額約2億円の資金調達を実施した。クラウド型目標・評価管理サービスである「HRBrain」のさらなる機能・マーケティング体制の拡充と、将来に向けた事業基盤の強化を図り、2018年は年次成長率300%を目指している。また本田圭佑氏とは、独自の目標達成メソッドの共同開発やパブリシティ面で随時連携を図っていく予定だ。

同社代表取締役社長の堀 浩輝氏は、「人事制度は作って終わりではなく、運用していく時代になっていく。今後、ますます大企業の人事評価も作りきりのオンプレではなく、変化にも強いクラウド型のソフトウェアへの移行が進んでいくことは明白です。また、日本の99%以上は中小企業。その現場ではまだ90%以上が紙やエクセルでの管理、もしくは人事評価制度自体がないという状況です。このような現状であれば、HRBrainのニーズは必ずあります。今回の資金調達を活用して、HRBrainを世界一のユーザビリティにすべく、どんどんブラッシュアップしていきます。『確実に需要が大きな市場で、とにかく世界基準で一番いいものをつくる。』それが当社の考え方です」と話す。

人事評価をクラウドでの管理に移行するグローバル企業の動きが活発化している。日本でも働き方改革や労働生産性の向上が叫ばれるようになった今、戦略的に人事評価を経営に活用しようと考えている企業は多いはずだ。

株式会社HRBrain代表取締役社長の堀 浩輝氏。株式会社サイバーエージェントに新卒入社後、Amebaにて事業部長に就任して以来、AmebaブログやAmebaOwndなど様々なサービスの責任者やエグゼクティブプロデューサーを経験。2016年3月にHRBrainを創業。本田選手と堀氏はともに、石川県の名門・星稜高校サッカー部出身だ

IT企業に多く導入されているHRBrain

今まで人事評価といえば、ブラックボックスになっていることが多々見られたと堀氏は言う。

「HRBrainを導入することで、社員、人事、管理者全員が関わる仕組みが組まれていることから目標設定や結果、それに対する評価もしっかり見える化ができます。本来、人事評価としてあるべき姿が実現できるはずです」

現在、HRBrainを導入している企業はIT系の企業が多くなっているが、企業規模でいえば、スタートアップ企業から大手企業問わず、IT系以外の業種にも導入社数は増えていっている。

「IT企業に多く導入されている理由としては、人材の流動性が高く、離職率が高いという業界の特性に加え、評価への不満から退職につながっていることもあるようです。『今ある目標・評価制度を見直したい』、『0から目標・評価制度を作りたい』というような問合せをよくいただいています。HRBrainは現行の人事制度がなくても学習することなく、すぐに使っていただけます。また業界問わず、必要に応じてカスタマイズすることも可能です」

HRBrainでは、これまでブラックボックスになりがちだった面談や評価の内容が文字として残ることで、経営サイドからは評価者の視点・考え方が浮き彫りになる。また自動集計機能では評価者の甘い、厳しいといった評価者ごとのムラが浮き彫りになり、評価者の育成、会社として統一感ある評価を実現することができる。

「実際、HRBrainを導入したあるIT系の大手企業では、若手とベテランの目標設定の立て方においてレベル感が違っていました。また人によって目標設定が甘い、厳しいなどの『差』がありましたが、こういう目標の差をエクセルではマネジメントすることが難しく、また目標を頻繁に更新することも難しいという実情がありました。HRBrainでは年間、毎月単位で目標を立てていくことができます。これは何をすべきか目標を立てて、またその結果もシンプルに振り返ることができます」

エンジニア部門においては事業目標として、機能をいつまでにリリースするとか、要件定義、エラー発生の防止などが想定される。

「事業目標に対してエンジニアは、自分は何をしていくべきか目標を立てることができます。エンジニアへの評価は事業の目標達成とエンジニアのスキルへの評価の2軸で対応できます。エンジニアには自分で目指すべき目標を立てられるセルフスターターであってほしいですね」

「目標のオープン化」という機能も盛り込まれている。この機能により、組織の目標の浸透や共通意識が生まれることに加え、意識の底上げや、「自身が目指すキャリアにはなにが必要なのか」を考えるヒントにつながっていく。

同社Growth Managerの由利可南子氏は、「目標があれば意識高く業務に取り組むことにもつながります。また新人社員には目標を設定させることは難しいですが、目標のオープン化や組織目標の浸透、共通意識が見えれば、個人の目標設定も立てやすくなると思います」と話す。

堀氏とGrowth Managerの由利可南子氏は、サイバーエージェント時代からの同僚だ

人事評価はExcelや紙からクラウドで管理する時代へ

堀氏は、「HRBrainは、これまで企業がアナログな方法で煩雑、不透明に実施してきた従業員の目標設定から評価までのオペレーションの全てを、クラウド型のソフトウエアで効率化することによって生産性を高めることができるクラウド型目標・評価管理サービス」と説明する。

Excelや紙が主体の人事評価では、目標シートの作成→配布→取りまとめ→催促→フィードバック→集計といった評価プロセスには多くの単純作業が潜んでおり、人事や評価者をはじめ、関わるすべての人々が多くの時間と労力を割いている。

HRBrainは、定番の目標管理制度であるMBOやOKRなどをはじめ、グローバルな成長企業に用いられている様々な目標制度や評価制度をフォーマットから選択するだけですぐに導入することができる。また面談記録の一元管理機能や完全に自動化された集計機能などを活用することで、人事やマネージャーにのしかかる目標・評価管理プロセスの約7割以上を圧縮することができ、最大限効率化することが望める。

「HRBrainは、日本の企業で広く行われている目標シートの記入から評価オペレーションまでをクラウドで一元化します。そして、HRBrainを利用していく中で蓄積されていく人事データは、様々な切り口から可視化・分析を行うことができ、これまで感覚に頼りがちだった人事が、よりデータドリブンで戦略的に活用することが可能になります。また従業員本人にとっても、『何を頑張れば自分は評価されるのか』が常に上長とシンクロしたうえでクリアになっていることは欠かせない要素です。操作面においても、人数が増えれば増えるほど煩雑になりがちだった目標や評価の管理でも、徹底的にオペレーションを効率化する様々な機能や使い勝手の良いUI/UXで、快適な操作性を実現していると思います」

HRBrainのサンプル画像【同社提供画像】

「一番いいものをつくる」を事業目標に掲げている同社。HRBrainのブラッシュアップのほかにも堀氏は、「今後は目標・評価データのプラットフォーム化をしようかと考えています。このデータをどう使ったら面白いか、まだ検討段階ではありますが(笑)」と言って締めくくった。同社のユニコーン企業としての道は始まったばかりだ。

クラウド型目標・評価管理サービス「HRBrain」
https://okr.hrbrain.biz/

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