AI文字解析が学習教材アプリに!? インターネット動画を活用して気軽に楽しく外国語

インターネット上の動画には、トーク番組などのバラエティ・エンタメ系、音楽系、またニュース・ビジネス系など、さまざまなカテゴリーの動画がある。その動画を使って英語、中国語、日本語の3言語の学習が可能な無料iOSアプリ「Langholic」(ラングホリック)が登場した。このアプリはAIが動画上の会話を聞き取って、文章を単語ごとに分解し、その単語ごとに語学学習することができる。

街中では外国人を目にする機会は増えてきている。その度に英語が話せたら、と思う人は少なくないだろう。好きな動画で楽しく気軽に語学学習ができる、そんな体験が可能なのであれば、もっと外国語を話せるようになりたいと思う人は増えるのではないだろうか。

実際、日本政府観光局(JNTO)によれば、2017年に日本を訪れた外国人は前年比19.3%増の2,869万1,000人(訪日外客数:推計値)で、1964年の統計開始以来の最高を記録した。また日本人の出国数も増加しており、前年比4.5%増の1,788万9,300人だった。2020年の東京オリンピック開催を迎える前に今一度、外国語と向き合ってみよう。

「日本語を学ぶ外国人の友人にも活用してもらっています」と話すLangholic, Founder & CEOの脇本氏

語学学習にはいろいろな発音に慣れることが大事

同アプリを開発したLangholic合同会社の脇本 守Founder & CEOは、ネイティブの表現・発音・イントネーションを学習するために、YouTubeなどの動画を見ながら英語や中国語を勉強していたという。動画を活用した会話学習方法の有効性は確信していた脇本氏。しかし、その学習方法には手間がかかっていた。

「動画を停止して字幕を見て単語を辞書などで調べたり、聞きたい表現をリピートして聞くには1回1回、巻き戻したりと学習以外での作業に意外と手間がかかっていました。手間がかかる、それは語学に限らず、学習への意欲が損なわれます。この学習方法が効果的であるという確信がありましたので、手間暇はシステムで自動化できないか、もっと気軽に楽しく学習できないかと検討し今回、このアプリを開発しました」

学校教育における英語の授業では、正しい文法や正しい発音などが重点に置かれている。実際のネイティブたちはそんなきれいな文法などを使って話してはいない。日本語でも同じだが、「口語」である会話は、友達同士や子供に話す時など、柔軟にその文法は変化する。

「外国語を学ぶとき、アナウンサーのような綺麗な発音だけでは、実際にネイティブの方と話す時に聞き取れず、そのギャップに驚いたりします。外国語のヒアリングでは、いろいろな方の発音に慣れることが重要なのです。男性や女性、子供だったり年配の方だったりと、いろんな話し方での理解ができなければ実践では使えません。そこでインターネット上にあがっているさまざまな動画を活用するのが効果的なのです」

AI文字解析を活用した語学学習アプリ

勉強しなくてはと身構えるとそれは苦痛になり、続けられなくなる。語学学習は継続こそ力、楽しく気軽に学習することが継続するための秘訣だ。

「学習者の興味によって動画を選ぶことができます。動画はジャンルからも選べますし、ワード検索で好きな動画を検索することもできます。その動画の類似動画や関連動画も表示されますよ」

またアプリ内では、動画中で使われている単語を選択するだけ、という簡単な操作で、オフラインでも発音音声をチェックすることができる。

「中国語や日本語の場合、動画の字幕文章が単語に分解された後、発音記号(ピンイン、ふりがな)も自動付与されますので、効率よく学べます。また中国語は字体変換(簡体字・繁体字)、日本語は振り仮名変換(ローマ字・ひらがな・カタカナ)の機能もあるため、好きな字体やふりがなで単語を学習することができます」

このアプリでは、単語の意味はそのままウェブ検索ができる。辞書では見つけられない人名などの名詞も、ウェブであればすぐに検索・ヒットができる。覚えたい単語があれば、そのままアプリ内の単語帳に入れていつでもどこでも確認することもできる。

「単語帳では動画に出てきた例文も表示されます。希望者には単語復習メールも週次で送信されますので、効率的に復習することができます。特に中国語や日本語を勉強している方から、『文章でどこからどこまでが1つの単語か分からず、辞書すら引けないことがあり困っている』とよく聞きます。このアプリでは、単語ごとに区切られて表示されるので、その問題ももうありません」

「私は今、中国語を習っていまして、ほかの生徒さんにもこのアプリを使ってもらっているんです。見た動画の言い回しや単語について、疑問を持ったら先生に確認することができるので、副教材として活用してもらっています」

アプリのサンプル画面【同社提供画像】

語学は人と人をつなぐコミュニケーションツール

脇本氏はカナダ留学をした経験がある。その時の経験が今回、アプリを開発した背景にある。

「留学する前、現地に行ったら今まで勉強した英語でなんとかなるだろうと思っていたんですけど、私の英語は全く通じなかったんです。こちらが英語で話しているつもりなのに、『英語で話してくれ』って言われたときはさすがにショックを受けましたね(笑)。日本語の発音で『あい・らぶ・びーとるず』って言っても通じなく、『I Love The Beatles』とネイティブの発音に近づけなければダメなんですよ。ネイティブの発音を聞き、舌の動かし方などの練習もしました。でも例えなかなか通じなくても、私がなんとか伝えようとすると、相手も一生懸命に聞いてくれて、理解しようと頑張ってくれるんです。国籍や母国語は違うけれどもお互い同じ人間なんだな、感じました」

カナダにはいろいろな国から留学生が来ていて、日本という国に良いイメージを持っていなかったという人もいたという。

「話を重ねていくうちに、その人は日本に対する偏見だったと言ってくれました。○○人としてではなく、1人の人間○○さんとして意識することができれば、その見え方は変わってきます。会話すること、お互いに会話ができること、それが大切なんだと学びました」

語学を学ぶこと、外国人と話すことは楽しい。インタビュー中にその言葉が出るたびに笑顔になっていた

もっと語学学習の機会を身近に

現在、「Langholic」はiOS版アプリのみだが、2018年内にアンドロイド版アプリのリリースを行う予定だ。

「今後はいただいたリクエストをもとに、例えばスペイン語や韓国語、タイ語など、対応言語は随時増やしていきたいと考えています。Langholicは言語などの意味を持つ「Language」と、好きや熱狂的などの意味を持つ「-holic」を繋げた造語です。外国語が話せれば、いろいろな人と話せるようになり楽しいですし、世界の視野も広がります。そのために学習する人が語学に興味を持って気軽に勉強できる機会をもっと提供していきたいですね」

街中で外国人観光客を見る機会は増えると同時に、日本人の海外旅行もますます身近なものになってきた。これからは外国人たちと接する機会ももっと増えていくだろう。それはまさしくさまざまな話者と触れ合える機会がすぐそばにあるということにほかならない。外国語で話したいと思った今、それが語学学習をスタートすべき合図になる。

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